[設計]
新たな穴あけはしたくないのでトランスソケットは変更しないこととした。現状では220Vをブリッジ整流して330Ωの抵抗1段のリプルフィルタと必要最小限の構成になっている。0.12 Aなので70~80 mA程度の電流が流せる。6T10を使用していた時には260 Vが出力されていた。
三極管を使用したシングルアンプは電源の影響を受けやすいのでリプル対策をしっかりとり、左右のチャンネル毎にフィルタリングするというのが理想形だ。6FY7はトランスレス構成のテレビ用に設計されているので低電圧・大電流型だ。出力用のSection2の常用最高電圧は275 Vなのでもう少し厳重なリプル対策をとる方が良いというのはわかってはいる。しかし、今回はせいぜい1~2W程度であり、出力トランスに良好な特性を期待できないということもあり終段は共通でこのまま使用し、初段のみ左右独立のフィルタリングとすることとした。
6FY7 Section2の特性図にPd 7Wの線とトランスの5500Ωの負荷線を引いてみたのがこの図である。B+を260 Vとすると30 Vのバイアスでおおよそ30 mAとなる。カソード抵抗は1 KΩで0.9Wを消費するので5 W抵抗にパスコンを付ければよいだろう。こうすると60 Vppの入力により45~350 Vまでスイングすることとなる。垂直管ということもあり対称性は185:120 Vとすこぶる良くない。もう少し負荷抵抗を高くして直線性を稼ぎたいのではあるがトランスが5500Ω固定なので仕方ない。
常用のスピーカーは6Ωを使用しているので4Ω端子に接続すると少しはマシになると思うがその程度の改善はたかが知れている(笑)。120Vで片側がクリップするのでノンクリップ出力は1.3 W、双方がクリップする出力であれば2.1 Wだ。バイアス用のカソード抵抗とほぼ同じ電力というのはなんとも情けない。固定バイアスにしたいところではあるがブリッジ整流なので負電圧は作れないのだ。しかし、内部抵抗が920ΩなのでDFは約6と裸特性でこの値だけは光っている(笑)
続いて初段の設計に移る
終段のバイアスが30 Vなので1 V入力として30倍の利得が欲しい。終段の許容グリッド抵抗は2.2 MΩとなっているがオーディオ回路を想定はしていないので安全をみて680KΩとする。リプル対策に40 Vほどドロップさせて220 Vを供給したと仮定し負荷線を引いてみたのがこの図だ。
33kΩの負荷抵抗をつけるとAC負荷は31.4 KΩとなり、バイアスを1.5 Vとするとこのようになる。1.5 V入力で40~45 Vとなるので終段をドライブするのには充分である。零信号時の電流は約1.8 mAなのでバイアス抵抗は820Ωとする。終段とのカップリングはオーソドックスに100 nFのフィルムコンデンサで結合する。
垂直管のように電流を流す三極管は総じてPG帰還容量が大きい。6FY7では4.4 pFもありミラー効果により入力容量は130 pF近くに達する。100 KΩのVRをつけると約50 KHzで高域は落ち込んでしまう。これは理論値なので実際にはもっと早く落ち込むだろう。もともと期待を高めてはいけないアンプなのだ。
というわけで設計を行い、実装したのが下の図となる
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